「青春とは」

「青春とは心の若さである。信念と希望にあふれ勇気にみちて日に新たに活動をつづけるかぎり、青春は永遠にその人のものである」(著:松下幸之助)16年前、自慢の書で書いたこの詩を結婚のお祝いにくれた夫の祖母が95歳で亡くなった。祖母は、この詩の如く最後まで駐車場の看板娘として生涯現役だった。最期は眠ったままのように安らかに逝ってしまった。
明治最期の年に生まれた祖母は、明治・大正・昭和・平成の激動を生き抜いた。旅館業を営む家で生まれ育ち、嫁いだ後も当時営んでいた映画館を、祖父を支え切盛りしてきた、気丈で心配りのある優しい祖母だった。
孫嫁になる私を祖母はいつも優しく見守っていてくれて、気弱な時、気持ちが荒立っている時、どんな時でも居間に行くと、いつも優しくお茶を出してくれる祖母を前にすると、癒され心が落ち着けた。いつも身嗜みにも気を配っていた祖母は、髪も服装もオシャレにしていたので、プレゼントを贈る時には、何をあげれば良いか迷ってしまったものだった。
年老いてからも、駐車場に来るお客さんに「まぁ、あなたのお召しになってるスカート、とっても素敵ね!」とか「もう、遅いから気をつけてお帰りなってね。」とか、必ず一言かけたりしていた。私が、たまに駐車場の店番をすると「おばあちゃんは、今日は居ないの?」と心配して良く聞かれた。
突然の訃報に仰天して感傷に浸る間もなく葬儀を終えたが、改めて祖母の書で書かれたこの詩を読み返すと、正に祖母は「生涯青春」であったのだと思う。
納骨も済ませた今でも、こたつに座ってお茶を入れてくれる祖母が居るような気がするが、、、、。「おばあちゃん、いつも本当に可愛がってくれて有難うございました。。。(合掌)」