気力の糸

気力の糸がある日を境にプツンと切れてしまう事があるのだと、最近、初めてわかった。しかも、本人が予想していなかった気力の糸。
長年、社会的責任をおって、気力体力とも充実していた男性が体の衰えとは関係なく、年齢により退職を現実として受け止める事は、頭の中でも十分覚悟し、退職後はこうしよう!あーしよう!などと思いを巡らしていたはずなのに、ビックリする程、気力の糸がプツンと切れて消沈してしまうのだ。
数日前とは、全く別人のようだ。
人とは、言葉で言っている事や、頭で考えている以上に、真の気というものが、実は奥深い所で支えているのだと、その人を見ていてそう思った。自分では予想もしていなかった程、大きな気の支えであった事を失う事を現実として実感して、初めてその存在の大きさに気が付くのだな、と思う。
気力の糸が、またピンと張りを戻すには、かなり時間が必要だろうけど、多分、それは本人以外、誰にも手を施すことはできないのかもしれない。ゆっくり時間をかけ、温かく見守ってあげる事しか、今はできないのかもしれない。