種のバトン

ここで書く「種」とは肉体的な「種」ではなく「精神的」「教え」の「種」のことをさします。

最近、年齢のせいか、親身に私に「教え」を乞うて下さった大切な方々が他界されてしまう事が多くなってきてしまいました。私は、そういった方々から今まで本当に多くの事を学ばせていただいてきました。
そして、その方々は共通して、ご自身が他界される、そのギリギリ間際まで「使命を持って活動している」という生き様なのです。

先月、他界された恩師は、私がお見舞いに行った病床で最後の教えを私の残して下さいました。それは宮本武蔵五輪書の中にある「二天一流」という言葉です。現代処世としての解釈として「スペシャリストとゼネラリストの両方共に一流を目指さなければならない」という教えです。
その前段として、私自身の近況や思うところをお話していると、必ずその恩師は何時もこの様な「教え」を導き出して私の心に残る指導をして下さるのです。最後の最後まで、何時もと同じ様に、病床につきながらも私に接して下さいました。

私自身も人生の折り返し時点を過ぎ、徐々に生かされている今この時を意識する様になってきました。果たして、私が享受してきた「種」を、私は恩師達の様に次の世代にバトンしていく事ができるのであろうか?と最近、良く考えるようになってきました。
しかし、そこに固執してはいけないのだとも思います。常に自分自身も、更に享受し成長し続けていかなくては!と。もっと言うと、次に「種のバトン」ができたどうか、などという事は、自分自身が意識したり判断したりする事ではないのではないだろうか?私がこの世を去った後に、他の人がどう思うか?というだけの事なのかもしれない、と思えるのです。
まだまだ「種のバトン」をだなんて、私が唱えるのはおこがましい限りなのです。自身の活動と共に、自然に若き世代と交わる事で「種のバトン」は為されていくことなのかもしれません。

十数年前には、ちょっと背伸びしサイズの合わなかった事も、年月の経過と共にちょうど良いサイズになってきた、と今感じる様に、これからのまだまだ「ちょっと背伸び」をし続けていく必要があるのだと思います。
天の上から恩師達は、きっと笑って見ていることでしょう「アイツをこっちへ呼ぶには、まだまだだな!!」と。。。